ars technicaがParallels Desktop 8 と VMWare Fusion 5 の詳細な比較検証を行っています(Showdown: Parallels Desktop 8 vs. VMWare Fusion 5)。結論的には、Retina ディスプレイでの表示が Parallels Desktop 8の方がより鮮明で良いとのことです。比較画像や動画など詳細は元記事を見ていただくとして、ここでは簡単に要点をまとめておきます。
Retina サポート
Parallels Desktop 8は、Windows 7とWindows 8の両方でウィンドウの境界線やアイコンを2倍の解像度でくっきり表示する。また、Retina最適ではなく最大解像度でディスプレイを設定しても全てのOSが動作する。それに対してVMWare Fusion 5は、Windows 7, Windows 8 共にアイコンやテキストやウィンドウのパーツ全てがガタガタに表示される。
Parallels Desktop 8 の新機能
- プレゼンテーション ウィザートとスマートフルスクリーン:フルスクリーンの自動判定
- Windowsでのディクテーションサポート:OS X の音声入力をWindowsで使用可能
- キーボードレイアウトの同期:日本語は未サポート。
- SafariにIE表示ボタンを追加
VMWare Fusion 5 の新機能
- AirPlay
- プロ用パッケージの追加(VMWare Fusion 5 Professional):利用者への使用機能制限など
Windows 8 サポートの比較
■ スタート画面
Windows 8 では、スタート画面(Start Screen)と呼ばれるデスクトップから始めることになる。これは、Metroと呼ばれていたもので、全てのアプリへのショートカットがタイル状に並べられている。しかし、並び順がアルファベット順ではないため探しにくい。特に、Parallels Desktop 8 では、アクセス可能な全てのMacアプリが追加されてしまうので、予想以上に大量のタイルが表示されてしまう。
そこで、Parallels Desktop 8 と VMWare Fusion 5 ではスタート画面を使わなくても済むように、それぞれ専用のメニューからアプリにアクセスする機能を追加している。(Parallels Desktop 8 はドックから(Alfredでもアクセス可能)、VMWare Fusion 5 ではメニューバーからドロップダウンでアクセス)
■ ホットコーナー
Windows 8には画面の右端にホットコーナーがあって、そこに触れると検索パーツやコントロールパネルが表示されるが、Macでホットコーナーを設定していると動作しない。Parallels Desktop 8 では右端付近でマウスの動作をスローダウンするなどの対策をしていると謳っているが実際にはうまくいかない。VMWare Fusion 5 は未対策である。
■ Windows 8 のベンチマーク
ファイルのコピーは、VMWare Fusion 5 のほうが速く、再起動やサスペンドからの復帰はParallels Desktop 8 の方が速い結果が出ています。
Open GL
Windows 8 環境でOpen GLを使用したソフトウェアの比較。
- VMWare Fusion 5:AutoCAD 2012は動作。Autodesk Max 2011 は GLモードで動作しない。
- Parallels Desktop 8:AutoCAD 2012、Autodesk Max 2011のGLモード共に動作。
Linux サポートの比較
OpenGL 3D
Parallels Desktop 8 の方が OpenGL 3D のサポートが進んでいる。VMWare Fusion 5 では、GLのいくつかの機能が使えない。そのため、3Dを使うソフトウェアの動作が不安定で遅くなる。
※元記事でパフォーマンスの比較動画を見ることができます。
Mountain Lion サポートの比較
Parallels Desktop 8 は、キーボードマッピングにバグがあって、チルダを入力すると±と表示される。また、Parallels Desktop 8 は何回かハングしたので、VMWare Fusion 5 の方が安定しているように感じる。
■ ベンチマーク
ファイルコピーは圧倒的に Parallels Desktop 8 の方が速い。
結論
Parallels Desktop 8
Retina ディスプレイの Mac で Windows 7 や Windows 8 を使いたい場合は、Parallels Desktop 8 がベストな選択になる。
Parallels Desktop 8 は、価格は高いがその分、VMWare Fusion 5 よりも優れている部分がある。音声入力や実験的にDirectX 10のサポートしたり、ベンチマークでも好成績をだしている。
■ 良い点
- Retina ディスプレイでは、Windows 7 や 8 の表示がシャープで VMWare Fusion 5 より良い
- Mountain Lion の音声入力が使える
- Windows 8 OpenGL のサポートが少し優れている
■ だめな点
- キーボードレイアウトの同期にバグがある
- Windows 8 を起動したり、デバイスを登録した時に8回チャイムが鳴る
VMWare Fusion 5
VMWare Fusion 5 は、2つのパッケージにわけ Professional版を作ったので、企業のIT部門などのように大量のMacユーザに配布したり管理するには良い選択になる。しかし、Parallels Desktop 8 に劣っている部分も多く、特に、Retina ディスプレイや Windows 8 を使う人には期待はずれであろう。
■ 良い点
- 前バージョン(VMWare Fusion 4)よりも安い
- プロ版は IT 部門にとって配布面や価格面で都合が良い
- Mountain Lion の仮想化は安定している(ファイルコピーは遅い)
■ だめな点
- Linux の OpenGL 実装はバグが多く、パフォーマンスがとても悪い
- Retina ディスプレイでの表示は Parallels Desktop 8 よりシャープではない
- Windows 8 のアプリで OpenGL 処理に問題がある
※ Parallelsは、バージョン8から代理店サイトでのダウンロード販売を止めて自社サイトで取り扱うようになりました。お試し版のダウンロードや購入は、上記の画像リンクからどうぞ。