SoftBankが米Sprint社を買収(記者会見まとめ)

SoftBankが米携帯キャリア3位のSprint社を買収しました(プレスリリース:ソフトバンク株式会社によるスプリントの戦略的買収(子会社化)について)。その発表記者会見をまとめておきます。

記者会見での発表内容

発表で使われたスライドより。

累計契約者数

■ before

■ after

累計契約数が9,600万、売上が2.5兆円になり携帯会社で世界3位に

資本構成

最終的にSprint社の70%の株をSoftBankが取得することでSoftBankが経営権を握る。

100%ではなく70%出資になった理由は、30%は一般投資家が株を取得出来るようにし経営の透明化を図り、安全保障上の観点などからアメリカ政府に反発されないようにするためである。そして、一番買収が実現可能な形にするために、SoftBankがアメリカに100%出資の子会社を作成し、その子会社とSprint社が合併するという形態にしている。

SoftBankの株主へ

■ SoftBankの時価総額

※ EBITDA(償却前営業利益):営業利益 + (減価償却 + のれん償却)

米国携帯市場の特徴

  • 米国のスマートフォン稼働台数は1.7億台(日本0.2億台)で世界一
  • 米国のモバイル実行速度(2011年)は1.1Mbpsで日本(2.0Mbps)より遅い

Sprint社について

■ SoftBank買収による効果

Sprint社の経営状態は改善されつつある

・純増数

・株価

SoftBankの貢献(戦略)

・スマートフォン戦略

・LTE戦略

・V字回復ノウハウ

質疑応答より

日本のユーザにどういうメリットがあるのか?

設備投資が促進され、電波が繋がりやすくなる。その理由は、今回の買収で世界一のネットワーク機器購入企業となるので、ネットワーク機器メーカーへの交渉力が高まり、設備投資費用が抑えられる。その結果、現在急速に進めている設備投資をさらにハイピッチで促進することができる。

スマートフォン(iPhone)の販売数が増えるので、スマートフォンメーカー(Apple)への交渉力が高まり、強く要望を行うことが出来るようになる。

米国でのスマートフォン販売の経験によって、日本にこれまでなかった米国式の販売方法やサービスを提供することができるかもしれない。

まとめ

記者会見の内容から、規模の経済によりSoftBankがAppleやエリクソンへの交渉力が高まって、iPhoneやiPadを他の企業より良い条件で提供できるようになりそうだと感じました。通信サービスということで国によって様々なルールの違いがあると思いますが、こういう買収によって利用者が今まで以上に便益を享受出来るようになれば良いと思います。

邪推ですが、今回の買収はiPhone 5の発売により、日本でSoftBankの契約者が大量にauに流れたことが原因になっているのではないかと思います。イーアクセスの買収でも回復のきざしがなく、日本国内では打てる手だてがなくなって、新しい道を模索し始めた結果ではないでしょうか。もしそうだとすれば、Appleの影響力は凄いですね。ところで、今回の買収でiPhone/iPadの本体価格やパケット代が安くなることを期待したいです。