現在、将棋の名人戦七番勝負(森内俊之名人 対 羽生善治二冠)第2局が行われています。今までだと、NHKのBSで朝夕夜の3回、1〜2時間程度放送が行われていたのですが、最近、ニコニコ生放送で完全生中継をやっています。これが意外と面白いのです。
第70期名人戦七番勝負ニコニコ生放送
ニコニコチャンネル:名人戦専用ページ
スケジュール
■第二局
- 二日目:4/25 9:00〜終局まで
ネット初!完全生中継【将棋】第70期名人戦七番勝負第2局(2日目)森内俊之名人vs羽生善治二冠
ちなみに、第一局は終局が21:30頃で21:39まで放送がありました。
※視聴者が多すぎて視聴ページから追い出されてしまって見れない場合は、ミラー放送をしている人がいるので、「名人戦」で生放送を検索すると見ることができます。
将棋中継にありがちなこと
将棋は先手後手が順番に指し、それぞれ考える時間を持っています。その持ち時間がタイトル戦ともなると数時間になり、名人戦はお互いに9時間持っています。そのため、1手に1時間や2時間考えることもしばしばで、その考慮中は観戦する人にとってはとても暇な時間となるのです。そこで、WEBでのブログ中継などでは、場つなぎとしてお昼ご飯の内容や午前と午後のおやつの写真がアップされます。
これは、対局者も同じらしく、現在将棋界最高峰のタイトル竜王位を8連覇中の渡辺明竜王もタイトル戦ではおやつくらいしか楽しみがないと語っています。
ニコニコ生放送の将棋完全生中継
ブログ中継でも場つなぎが大変なのに、朝から晩まで完全生中継って間が持つんだろうかと最初心配したのですが、見てみると案外面白いのです。生中継の基本的なスタイルは他の中継と同じく男性棋士と女流の聞き手が2人で局面の解説をするというものです。他の中継と違うのは、見ている人からのメールの質問に2人が答えたり、ニコニコに書き込まれた視聴者のコメントを2人が拾って話をしたりするのです。このリアルタイムっぽいところがなかなかいいのです。さらに、これをより面白くしているのが、朝から晩まで長時間同じ人がずっと解説しているので、だんだん疲れてきて棋士が素になってくるのです。
三浦九段 今の詰め手順かっこいい?(十数手の詰め手順を華麗に披露して)
安食女流 ええ…
三浦九段 好きになった?
安食女流 …。女流狙ってるんですか…?
※ちなみに三浦九段は独身でよくそれをネタにされています。
NHKなどのお堅い番組と違ってニコニコ生放送というゆるい感じの番組という影響もあるでしょう。素の棋士が話す将棋界の裏話がなかなか面白いです。
さらに面白くしているのは、局面の解説では聞き手になっている女流が棋士が質問に答える場面になると立場が変わって、男性棋士を攻めるかのように視聴者が聞きたいだろうな思うような鋭いツッコミを入れてくれるのです。普段は棋力が段違いなので男性棋士からは見下されている女流ですが、ここぞとばかりに男性棋士をいじるところが面白いです。
私が印象に残った言葉
将棋界の裏話もなかなか面白いのですが、流石一流棋士という言葉も聞けます。私がなるほどと思ったのは、棋王戦第三局で深浦九段が語った言葉です。
- 視聴者
- 「プロ棋士にも不調な時期があると思いますが、スランプ脱出のコツはありますか?」
- 深浦九段
- 「負けるのは原因があって、私の場合は、振り返ってみると勉強してなかったとか、時間は使っていても集中していなかったとかです。スランプというのは羽生さんとか超一流の強い人が使う言葉です。私の場合は弱いから負けるのであってそもそもスランプなどというものはないです。」
流石一流の人は考え方が違います。本人は勉強してなかったから負けたと言っていますが、昔からいろんな棋戦の感想戦の写真には深浦九段が熱心に聞いている姿が頻繁に写っています。また、自分は弱いとも言っていますが、羽生さんから王位を奪取して3期タイトルを保持していた実力者です。
おまけ
NHKトーナメント放送のハプニング
ニコニコ生中継の影響でしょうか、棋士ががんばって積極的に話題作りをしています。先日放送されたNHKの将棋トーナメントで対局前のインタビューで佐藤紳哉六段が対戦相手の豊島七段の印象を聞かれて、とてもくだけた話し方をして話題になりました。しかも、カツラをかぶっています。
「とよしま〜?強いよね。序盤中盤終盤隙がないと思うよ。だけど俺は負けないよ。」