AppleとSonyの比較ブログを読んで思うこと

似たようなタイトルのAppleとSonyの比較ブログを読みました。タイトルの付け方がうまく読まずにはいられなくなってしまって読みましたが、内容も面白かったのでご紹介します。1つ目は、”誰も言いたがらない「Sony が Apple になれなかった本当の理由」”。そして2つ目は、”実は誰もが知っている「AppleがSonyになれた本当の理由」”です。

特に印象的だった部分を引用させて頂きます。

Life is beautiful – 誰も言いたがらない「Sony が Apple になれなかった本当の理由」

 アップルの強さは、単にデザインやジョブズの現実歪曲空間だけにあるのではない。柔軟な雇用関係のもとに、「いかに製造コストを下げるか」「どこまで在庫を減らせるか」「どうやって優秀なソフトウェア・エンジニアを雇うか」に常に目を光らせ、「魅力的な製品を安く」作る事に最適化している点にある。

今までソフトウェアを軽視してゼネコン・スタイルで開発をして来たために、社内にはソフトウェアが自分で書けるエンジニアはほとんどおらず、自分でソフトウェアも書けないくせに、給料だけは高い「自称エンジニア」が仕様書だけ書いて下請けに丸投げしているのが現状だ。

私も、全く同感です。Appleがアメリカ合衆国よりも多くの現金を保持出来るぐらいになったのは、魅力的な製品を作るだけではなく、安く作って手頃な価格で提供することも考えているからだと思います。昔のMacは高価でしたから、ごく一部のお金持ちしか買えませんでした。最近特に上手いなと思うのは、キーボードにしろ、Magic Mouseにしろ、デザインはかっこよくて自分の机の上に置いておきたいという欲求にかられますが、使い勝手は必ずしも良くはないんですよね。キーボードはぺらぺらしていて押し込み感が少ないし、矢印キーなんかは、よくこんな使い難い大きさと配置で誰も文句を言わないなと思うくらいです。なぜAppleがこんなデザインにしたのかと少し考えてみると、実はコストダウンなんですね。部材が安物になって、作りやすいような配置になっています。決して使い易い配置ではなく、安く作りやすい配置です。でもそれを気付かせないばかりか、逆に買いたいとまで思わせてしまうのはすごいです。ちょっと皮肉っぽくなってしまいましたが、iMacやMacBook Pro、MacBook Airは、規模の経済を活かしてどんどん値段を下げています。内部で使われているパーツを詳しく調べると決して最上のものではありませんが、総合的なパフォーマンスは多くのユーザを満足させるものです。世界的に経済が冷え込んでいる現在の状況を考えると利用者にとっては有り難い限りです。それに対して、Sonyや東芝などの日本のメーカーを見ると、私には全て最上のパーツを揃えて最高のものを作るというバブル時代の感覚を引きずっているように思えてなりません。そういうメーカーで製品企画を担当している人は高給取りなので世間の感覚から少しずれているのではないでしょうか。

ゼネコン・スタイルの開発で自分でできないことを下請けに丸投げというのは、日本の大企業はどこもそうでしょうね。もしかしたら、Appleもそういう部分があるのではないかと思えるところはあります。しかし、Appleの場合は、確実に下流工程も出来る有能なエンジニアがいることが分かります。それは、iOSのアニメーションなど、開発している人間しか思いつかないようなちょっとした遊び心的な機能が製品に含まれているからです。このちょっとした遊び心のおかげで製品に愛着がわいたりするんですよね。

404 Blog Not Found – 実は誰もが知っている「AppleがSonyになれた本当の理由」

個人が利用する製品を個人に売り、買った本人から代価を得ているから。

Appleの競合をよく見てみよう。彼らの本当の顧客が誰なのか。Nokiaの顧客は各国のユーザーではなくキャリアー。数多の携帯電話端末企業もこれに同じ。DellやHPの主顧客は、個人ではなく企業。Microsoftの顧客は、個人ではなくDELLやHP。そしてGoogleの顧客は、ユーザーではなく広告主。

なぜAppleは、個人という一番気まぐれで、一番気難しい顧客を選んだのか。

一番気前がいい客だからだ。

顧客が個人でその個人が一番気前がいい客だという、この視点は初めて気付きました。企業相手に商売をするのが一番楽に儲けられるように思っていました。しかし、確かに買い手の方が有利な立場であり、その立場を利用して買いたたいたりする下請けいじめなんていう言葉も聞きますね。

私が思うAppleの強さ

さて、上記2つのブログの記事には感銘を受けましたが、私が思うAppleの強さを語ってみたいと思います。それは、サプライズです。利用者をあっと驚かせてやろうというサービス精神です。数ヶ月前にある人が自分の子供の話をブログに書いた記事が話題になりました。その記事はこんな話でした。小学生の女の子がiPodが欲しくて瓶一杯に貯めたお金を持ってお母さんとApple Storeに買いに行きました。しかし、運悪くちょうど改装中だったのでスタッフに今は買えないと言われてとぼとぼ帰路につきました。しばらく歩いていたところ、後ろから店長に指示されたスタッフが追いかけて来てスタッフ勢揃で店に招いてくれたそうです。Steve Jobsがみんなをあっと驚かすような発表をやりたがったのは有名ですが、そういった精神を受け継いでいるのだろうなと思います。iPadを始めとするApple製品にもそういうサプライズ的なサービス精神がたくさん含まれています。また、私も個人的にAppleに問い合わせをしている中で、そういう良い意味でびっくりさせられたことがあります。もちろん、全社員がそうだというわけではありませんが、そういう精神が会社の企業文化として受け継がれていてそれに感動した人が私のようにAppleファンになっていくのだろうなと思います。